Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme

Aozora Bunko

莫大な秋の花をのせている台地であった。萩などもこの高原では繚乱として咲いていた。ある朝は小雨の近い霧で、たちまち路に迷って炭焼の沢に入ってしまった。炭焼に教えられて小松林の近路を抜けてみると、そこにも別の旅人が立ち止まって牛飼いに同じ路を尋ねている。十頭近い牛が大息を突きながら現われてくる。この塙を行けば松が一本あると牛飼いが言った。ハナワは蝦夷語のパワナのなごりで、上の平らな丘のことをいっているらしい。露が深いからこれで払って行けと、二尺余の木の枝をくれるのを、それにも及ばぬと元気のよい青年だ。茣蓙をくるくると身に巻いて、泳ぐようにして前へ進んでくれる。その野原が一面に他の草もなく萩であったのは風流だが、自分らはただおもしろ半分に、古人が「珠にぬかんと取ればけぬ」などといった露を、振り翻しながら通ってしまった。

砂浜へ降りてみると、往々にして低いハマナスの林叢がある。花は乏しく実はやや熟して、その下では虫が鳴いている。北地の秋はこの辺から寂しくなってくるようだ。米田の山の裾には真白な工場が一つあって、軌道が長々とそれから浜へ通っている。そうして煙も昇らずまた人もいない。