Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
空を往来する精霊のためには、まことに便利なる澪標であるが、生きた旅人にとってはこれほどもの寂しいものはない。ことには白い空の雲に、または海の緑に映じて高く抽け出でて立つのを見ると、立ち止まってはこれら労働に終始した人々の、生涯の無聊さを考えずにはおられなかった。閉伊の吉里吉里の村などは、小高い所から振り返ってみると、ほとんど一戸として燈籠の木を立てぬ家はない。どうしてまたこのようなおびただしい数かと思うと、やはり昨年の流行感冒のためであったのだ。
仏法が日本国民の生活に及ぼした恩沢が、もしただ一つであったとするならば、それはわれわれに死者を愛することを教えた点である。供養さえすれば幽霊もこわくはないことを知って、われわれは始めて鬼駆逐の手をゆるめ、同じ夏冬の終わりの季節をもって、親しかった人々の魂を迎える日と定めえたのである。合邦の浄瑠璃にもあるごとく、血縁の深い者ほど死ねば恐ろしくなるものだなどといいつつも、墓をめぐって永く慟哭するような、やさしい自然の情をあらわしうることになったのも、この宗教のお蔭といわねばならぬ。
鵜住居の浄楽寺は陰鬱なる口碑に富んだ寺だそうなが、自分は偶然その本堂の前に立って、しおらしいこの土地の風習を見た。