Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
酒の個人的または家長専制的なるに反して、菓子の流布には共和制の趨勢といおうか、少なくとも男女同等の主張が仄見える。しかももし年に一度のジャガタラ船が、壺に封じて砂糖を運んでくる世であったら、寒い東北の浦々まで、黴びたりといえども蓬莱豆、蝕めりといえどもビスケットが、隈なく行き渡りうるはずはないのである。盆の精霊に供える蓮の花の形の菓子がある。米の粉で固めて紅と青とで彩色がしてある。試みに食ってみるにほどよく甘かった。台湾がわが属地となったお蔭に亡者までがよろこぶ。いわんや生きてかついとおしい人々が、互いにこの文明を利用せんとしなかったら、かえって不思議だといわねばならぬ。
近ごろの話である。あるやさしい奥さんの宅へ、村でも剽軽で知られている老人が、いつになく真顔で訪ねてきて、ぜひおめエさまにおねげエ申してい事があると言う。この間隣の女隠居の病気がむつかしいというころから、おりおり頼みがあるあると言っていたが、きょうは酒の力を少しは借りたらしく、しかもなお唇を乾かして思い入って話をした。
他の者に聞かせると、また何のかのと評判にするからいやだ。親類でもない者が見舞にも行かれぬが、おら、あのお婆さんには子供の時、足袋をこしらえてもらってひどくうれしかったのが、今に忘れることができない。