Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
珍しいことには一年に一度とか、たとえば若狭などの異人同様に、廻状をまわして近村の住民を招いてこの話をして聞かせた。急造りの立派な家の中で、この時ばかりは本物のご馳走を、どこからか持ってきて食わせたということである。ただしこちらはもう誰でも笑って聞くような昔話と化し去ったが、三河のおとらにいたっては今なお現実であって、待っていたならば恐らくこれから後も例が出てこよう。こういう不思議な資料は、過去の記録になってしまわぬうちに、よく調べて説明を求むべきである。人間界のしかも常人の間のでき事に、意味不明というものがあってよいものではない。
そこで立ち戻って流布本の『義経記』に、常陸坊以下十一人までの家来が、朝から寺参りなどをしていて、おめおめと生き残ったという一条を考えてみる。全体そんなつまらぬ事を、誰が知っていて人に話したのか。本人どもが白状したとすればいかなる機会にいかなる問いに答えて、何人に語ったとすべきであろうか。それよりさらに大なる不審は、高館城内の悲壮を極めた光景十郎権頭が最期の忠節のごときは、果してこれを目撃して末代に語り伝えた者が、人類の中にありえたであろうか。