Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
たとえばコタツの中で手をたたくことを、老人などの非常にいやがる土地が今でもあって、それを何故かと尋ねてみても、もう説明しうる者は一人もないのである。コタツは火の神の信仰に対して、明白に一つの叛逆であった。正月松の内に囲炉裏に足を入れると、苗代に鷺がつくなどといってしかられていたのに、コタツでは何の遠慮もなく、にょきにょきと突き出してあたっている。それにもかかわらず、なお知らぬ間に以前からの約束を踏襲して、火の清濁の差別待遇を承認し、この火は食物の煮焼きなどに供用せぬことにきめていた。手をたたくというのもおそらくは荒神さまの礼拝を意味し、火の浄からぬコタツの中では、その行為を厳戒していたものかと思う。
しかも今日では火棚、火鍵はもとの黒光りのままであっても、もはや手をたたいてヒホドを拝む者はなくなった。それだのにこんな形式が迷信となって残っている。すなわち古い信仰は、かえって革命家の手によって、保存せられていたことになるのである。それを考えまた語りうる能力のある人がコタツによりかかって静かに雪中の日を送っている閑な時間に、なお一度後世の学徒に代わって、この消え残る上古の光と炎とを、たどってみることも意義があると思う。