Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme

Aozora Bunko

つまりは個々の瞬間の遭遇であって、それだからまた生活と交渉することが濃やかなのである。たぶんあの辺を旅行してみたら、よい機会が横たわっているかもしれぬと、推測し勧説しうる場処はいくらでもあろうが、とてもそれ以上の約束を天然から徴することは不可能である。あるいは見物の方がはなはだしく無我で、聞きしにまさるなどと感歎することがあっても、それはただ西行・宗祇・山陽・拙堂などの、従順なる信者というにすぎぬ。

いつごろから用い始めたか、日本には名勝という語があって、近年法律をもってこれを指定し保存することになっている。名所という俗語の音の転訛ではないかと思う。とにかく名勝は風雅道の霊場、文人伝の古蹟ともいうべきものだが、風景のほうからいえば最も押しの強い押売である。今さら旅人の拘束せらるまじき旧法則である。いわゆる紀行文学のごとき、図書館では地誌の部に置かれながら、いかにも狭い主観の、断独的個人的の記述であることは、すでに心づいた者が多いのであるが、名ある古人を思慕することが、無名の山川を愛する情よりもまさっている国柄では、風景の遇不遇ということがことに大きな意味を持つ。