Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
佐渡の島の東北端、鷲崎という静かな澗も、水澄んでさまざまの藻が茂っていた。越後などから燃料の雑木を積みに、小さな船ばかりが入ってきて繋っているが、晴れた秋の朝の船出などに、さし込む日の光をもって描かれる風情は、棹や櫂で掻乱するに忍びないようなみごとさであろうと思われた。汐干に遠く現われる東上総の磯の石畳は、ヒジキの薄緑が地の色をなし、その隙々にトサカノリの幽かな紫を交えている。南の島に行くに随うて、隠れ岩にはしだいに花やかな彩色を加えるようだが、鷲崎の湊のあたりには冷たい潮が通うためか、藻の緑はことに深く、かつ葉の広い北海の種類が多かった。
佐渡の海府の果まで行くと、地上の草にも人間の跡がまだ少ない。弾崎の燈台から西は、浪打ち際までが多くは草の原で、遠く近く咲く花にはとりわけて珍しいものもないが、いずれも自然の聚落をなして、この郊外の秋の野のごとく入乱れてはいなかった。畠ならば三反、五反の広さが、一面に紅か黄か、それぞれ一種一色の花をもって覆われた光景は、例えばれんげ草の田のようであった。無始の自然がこのように播きかつ育てるのである。願の賽の河原に接して大野亀という亀の形をした孤丘が海に突出している。