Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
今二十年も過ぎたらあの地方の、珍しい風景に算えられると思う。
それから椿の木は伊豆や熊野の村々では、あまりにありふれて目にも留まらぬが寒地に向かうにしたがって、しだいしだいに風景に参与してくる。東北六県の海の辺で、椿の繁茂する例は存外に数多いが、中部日本のように、自在には野山人里に散乱せず、たいていは一処にかたまって、ことに岬の端などに、できるだけ海に近く成長する。それが気仙の尾崎や唐桑、あるいは秋田の椿の浦のように、付近に比べて特に温暖な土地だけに、限られているのは言うまでもない。津軽方面では深浦の椿崎、小湊の椿山などが珍しいものに伝えられる。後者は近年の保存法によって、天然記念物として指定せられたが、これらの分布がはたして天然であるか否かは、必ずしもすでに解決した問題でない。はたして純然たる自生であるとすれば、かつては北地一円に、平均気温のはなはだ高かった時代を想像せねばならず、人以外の者の運搬としては、互いの距離がやや遠きに過ぎる。しかも南人が北の国に入ってくるのに、その習俗信仰とともに、かねて崇敬する植物の種を携え、適地を求めてこれを養育したことは決して五穀実用のものに限らなかった。