Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
べつに気にもとめなかったが、まもなく戸口でおせいちゃんの呼ぶ声がした。
彼女はよそゆきの支度をし、白足袋をはき、赤い顔に幸福そうな笑いをうかべながら、土産物の包みを私に渡して、机の脇へ坐った。彼女の息は酒臭かったが、そんなことは、初めてであった。
「まだ勉強してるの、えらいわね」と彼女はまず子供騙しのようなことを、少しの実感もない調子で云った、「そのお土産あけなさいよ、先生は東京だから知ってるでしょ、ねえ、あけてみなさいよ」
私は云われるとおりにした。包紙の中からは、しゃれたレッテルを貼った朱色の壜があらわれた。それは五種類に加工した豆とあられの混った菓子で、レッテルには俳優の紋や、顔の隈取りなどがちらし模様になっていた。
「品物は五色豆よ」と彼女が云った、「でもほかになんとか云う名があるでしょ」
私が答えると、彼女はまた幸福そうに喉で笑った。
「うまいじゃないの、おのろけ豆だなんて、かっちゃんのお土産」と彼女は云った、「ああくたびれちゃったわ」
こうしておせいちゃんは話し始めた。
昨日のかもは三人伴れで来た。外交員か集金人のようにみえ、午さがりにあらわれて大いに景気をあげた。