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Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

倉なあこは訝しそうに友達の顔を見た。男ぶりがよくて、口の重い、いつも頬の赤い彼は、決して人にさからうようなことはないが、富なあこの言葉には少なからず不審をいだいたようであった。

「まさか」と倉なあこが呟いた。

「そう思うだろう、誰でもそう思うんだ」と富なあこが云って立停り、水の中で踵をあげた、「――砂はただ砂っ粒、これだけのもんだと思ってる、だがそうじゃねえ、これはこれで生きてるし、生きてる証拠にはおめえ、絶えまなしに育ってるんだぜ」

倉なあこはなにか反問しかけたが、ちょうど魚を踏んだので、巧みに女串を刺し、六寸ばかりの鰈をあげた。

「砂が」と倉なあこは鰈を魚網へ入れながら訊いた、「育つってかい」

「おうよ」と富なあこが云った、「それもただ育つだけじゃねえ、育って大きくなりながら、だんだん川をのぼるんだ、だんだんにな、おらもこれにはびっくりした」

倉なあこは右手の中指で、頭のうしろを掻いた。

「こんな根戸川なんかじゃよくわからねえが、ほかの川へいってみればはっきりすらあ」と富なあこは続けた、「――海に近えところはこまっけえ砂さ、それが上へのぼるにつれて、砂利になり石ころになり、その石ころがもっと大きくなってるもんだ」