Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
「うう」と倉なあこは考えこみ、やや暫くして、呟くように云った、「その勘定だな」
「誰もそこに気がつかねえのさ」
「その勘定らしいが」と倉なあこが訊いた、「しかしまた、どうやって川をのぼるだろう」
「おら、この眼で見た、この眼でよ」と富なあこは科学者の冷静さと情熱とをこめて云った、「――川のずっと上へゆくとな、このっくれえの岩が川の中にころがってるんだ、それがおめえ、或るときここいらへんにあるとするだろう」
「うう」と倉なあこは友達の指先を見た。
「するとあるとき、そうさな、――」富なあこは水面を指さした手を、ちょっと考えてから、向うのほうへずらした、「あのへんまでのぼっちゃってるんだ、ここんところから、あのへんまでよ、幾日もたたねえうちに、ときには三間も五間も上へいっちゃうんだ」
「どうやってだ」
「わかんめえ」富なあこはすばらしい手札を持った賭博者のようにほくそ笑んだ、「おらもわかんなかった、どうやって上へのぼるんだか、手も足もねえし、魚のように鰭や尾っぽがあるわけでもねえによ、――それでおら、よーくしらべてみたっけだ」
倉なあこは踵をあげることも忘れ、期待のこもった眼で友達を見まもった。