Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
彼の表情は変らなかった。
「ごめんなさい、あたし悪かったわ」おさいは眼を伏せた、「徳行のおふじさんのこと、嘘だったのね、あたし人から聞いて、かっとのぼせちゃったの、あのときはじかに会って、当人の口から聞いたように云ったけれど、ほんとうはゆきもしないし会いもしなかったの、もしか嘘なら、あんたが嘘だっていう証拠をみせてくれると思ったのよ」
元井エンジの眼が、ねむたそうに細められた。あのとき彼はそのことを云った、そんな覚えはない、みんな嘘だと云ったが、おさいは聞こうともしなかったのだ。そのことを思いだしたかどうか、彼は細めた眼でおさいを眺めたまま、黙って立っていた。
「あんたはなんにも云ってくれなかったわ」とおさいは続けた、「だからあたし、――あたし、どうにでもなれって思っちゃったのよ、ほんとうはあんたが悪いのよ、あんたがいけなかったのよ」とおさいは声を激しくした、「嘘なら嘘だって、はっきり云ってくれればいいじゃないの、どうして黙ってたの、どうして」
彼はまた微笑した。
「でもいいわ、みんな過ぎちゃったことだもの、それに、――」おさいは熱っぽい眼に媚をあらわして云った、「あんたはじつをみせてくれたわ、あたしが布佐へお嫁にいっちゃってからも、ずっと独りで、ほかの人をお嫁に貰わずにいてくれたわね、うれしいわ、あたしこっち