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Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

へ帰って来てからそのことを聞いて、うれしくって、泣いちゃったのよ」

おさいはすばやく眼をぬぐった。彼はなお表情を変えなかった。彼は謙虚な自尊心をもっていた。それは決して他人に気づかれることのないところで、ひそかに、しかし誇り高く保たれて来たのだ。――おさいが彼にあいそづかしを宣告してから、周囲の者のあてつけやかげぐち、嘲笑やおひゃらかしの集中攻撃を受けた。見たこともないおふじという女についても、あくどいほのめかしや皮肉をずいぶん云われたものである。――けれども、それらのすべてを謙虚な自尊心で受けながしたように、いまおさいの訴えに対しても、彼は漠然と微笑するだけで、おさいを責めたり、自分の立場のつらかったことを並べたりしようとはしなかった。

「あたし、いつでもいいのよ」とおさいは低い声で云った、「あとは云わなくってもわかるわね、あたしたちうまくいくと思うわ」

彼はやはり黙っていた。

「きっとうまくいくわ」おさいの声には確信がこもっていた、「あんたの都合でいつでもいいのよ、あたしの気持、わかるでしょ、わかってくれるわね」

彼は一割がた微笑をひろげ、片手をゆっくりとあげて、その指先をひらひらさせた。