Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
勘六ははだしで外へとびだした。顔には幾筋もみみず腫れができていたし、髪の毛の薄い頭には瘤がふくれていた。彼は船宿「吉井」へいって道具を借りて来ると、店台をべりべり引き剥がしにかかった。
「なにをするんだよこの山犬あ」あさ子がとび出して来て、かなきり声をあげた、「なんのまねだい、それをどうしよってんだよこのひょっとこは」
「おれの物をおれが持ってくんだ」と勘六は喚いた、「ざまあみやがれ」
「誰か来て下さいよう」とあさ子は泣き声で叫びたてた、「どなたか来て下さいよう、この泥棒があたしの家を毀しますよう、どなたか駐在さんへ知らせにいって下さいよう」
あさ子は腰巻一枚で、いかんせん往来で亭主につかみかかるわけにはいかなかった。もちろん、彼女のために、助力しようというような、お節介な人間はその近辺にはいない。勘六はたちまち店台を剥ぎ取ると、それを担いで「吉井」のほうへ走りだし、吉井のべか舟を借りてその財産を乗せると、根戸川のほうへ漕ぎ去ってしまった。
「骨っ腐り――」と根戸川べりまで追っていったあさ子は、べか舟が見えなくなるまで叫んでいた、「かってえぼうのうみどんぼ野郎、くたばっちめえ――」