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Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで消防組員が起こされ、提灯がつけられ、手分けをして捜しにかかると、蒸気河岸の桟橋の端のところに、揃えてぬぎ捨ててある草履が発見された。――栄子は病院へ移されていて、詳しいことは知らなかったが、岸がんは身投げをしたに相違ないという結論に達し、十幾はいかのべか舟が根戸川へ漕ぎ出された。

岸がんはみつからなかった。死躰は海へ流されたのだろう、数日にわたって海も捜索された。このあいだに、警察電話で連絡し、彼の勤めている薬品商店へ事故を知らせたが、店ではもう解雇したというし、住所をしらべると移転したあとで、移転先は不明だということであった。

栄子は警察で訊問されたとき、「むり心中をされた」と答えた。そこが彼女の知恵のあるところだと自慢したが、知らずに毒をのまされたと云えば、岸がんが死んでも自分は罪にならないのだそうで、二週間ばかり留置場へ入れられただけで釈放された。田舎のことではあるし、時代も暢びりしていたので、栄子の胃から吸い出した「毒薬」はべつにしらべられもせず、岸がんの死躰は発見されないままに、「松の家の心中」という評判だけが残り、そのためひところの栄子は浦粕じゅうのにんきを一人占めにしたそうであった。