Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
私が問いかけると、栄子は憐れむような眼で私を眺めた。
「毒をのめば苦しいにきまってるじゃないの、わからずやだな先生は」と栄子は云った、「それは本当はノーポンとメリケン粉を混ぜただけだけどさ、人間は気持のもんでしょ、人間ってものは気持のもんなの、わかって」
私は自分の酒を啜った。
若い巡査は狼狽した。同僚を起こし、分署に電話をかけ、医者のところへ走った。医者が来たとき、栄子は苦しさのあまり胸を掻きったり、叫び声をあげながらのた打ったりしていた。すぐに白い泥水のようなものを飲まされて、むりやり口へゴム管を入れられ、ポンプみたような機械で、胃の中の物を吸い出された。それを三回ほど繰返されたが、死ぬかと思うほど苦しくって、医者の手首へ噛みついたそうである。――このあいだに巡査の一人は「松の家」へ臨検にいった。うちではなにも知らず、みんな暢気に寝ていたが、巡査に叩き起こされ、わけを聞いて仰天し、巡査といっしょに岸がんのようすを見にいった。ところが寝床はからっぽで岸がんの姿は見えない、彼の草履もなくなっているので、苦しさのあまり外へ出ていったのだろう、ということになった。