Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
助なあこはお兼の手をふり放した。
「そうじゃねえ、そうじゃねえ」彼はふるえながら云った、「男と女の仲は蜜柑の木を育てるようなもんだ、二人でいっしん同躰になって育てるから蜜柑が生るんだ、お兼さんのようにあっちの男と寝たりこっちの男と寝たりすれば、せっかくの木になすびが生ったりかぼちゃが生ったり、さつまいもが生ったりするようになっちまう、おらそんなこたあいやだ」
「ばかなこと云わないで」そう云ってからお兼は急に怒りだした、「えらそうなこと云うんじゃねえよ、おめえだっておらのこと、おらの亭主から横どりしてるんじゃねえか、なにがなすびだえ、かぼちゃがどうしたってのさ、ふざけちゃいけないよ」
そして****とひどい悪態をついた。
美しく純粋な、黄金の光を放つものが毀れた。助なあこは自分を反省し、また独学に熱中し始めた。いちどならず「死んでしまおう」と思い、どこか遠い土地へいってしまおうと決心した。北海道かどこかの広い広い、はだら雪の人けもない曠野を、頭を垂れ、うちひしがれた心をいだいた自分が、独りとぼとぼと歩いてゆく。こう想像するたびに、彼は一種の快感にさえ浸されるのであったが、現実にそうする勇気は起こらなかった。