Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

「むだなことを考げえるんじゃねえ」彼は机にしがみついて頭を振る、「そんなことに気をとられると出世のさまたげだぞ」そして他の水夫やエンジさんの騒ぎから身を護るように、両手で耳を塞ぎ、口の中で低く、本を音読するのであった、「――その構造のAは、原則として、スチイタアと、ロオタアの二部分に分れ、スチイタアの主躰は汽筒であって、……」

お兼はもう助なあこには眼もくれなかった。工場の建物の前に蓆を敷き、他の女房や婆さまたちと並んで貝を剥きながら、陽気な声でお饒舌りをし、みんなを笑わせている。助なあこが通っても知らぬ顔だし、彼を見たにしても、その眼にはなんの表情もあらわれない、犬か猫でも見るような、まったく無縁な眼つきであった。

しっつぁんも助なあこのところへは訪ねて来なかった。けれどもそれからのち、お兼の相手の男にねだるときは、次のようなことをぶつぶつと云った。

「夫婦てえものはおめえ、二人で蜜柑の木を育てるようなもんだ、その他人の育てた蜜柑をよ、只で取って食うって法はねえもんだ」そこでしっつぁんはぐあい悪げに眼をそらすのである、「――他人のおめえ、夫婦の育てた蜜柑の木に生った蜜柑を食ったら、その駄賃くれえ払わなきゃあしょあんめえじゃあ、蜜柑はなずびやかぼちゃたあちがうからな」