Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
耳も眼も口もすばしっこく、学校の勉強のほかはなにごとによらず、なかまにひけを取ったことのない長は、唇の隅に唾を溜め、さかしげな眼をくりくりさせながら語った。
その男はなにもしない。父親が死んだあと、魚屋の店は母親と男の妻とで、三人の若者を使って立派にやっている。――男は朝起きるとすぐ、蒸気河岸まで水汲みにゆき、帰って来るとその水で洗面にかかる。第一の手桶の水で歯を磨き、第二の手桶の水で顔を洗うのだが、どちらの手桶の水もむだにせず、ゆっくりと、丁寧に、飽きることなく磨いたり洗ったりする。これだけで半日つぶれてしまい、それから朝めしを喰べるので、たいてい午後になるのが普通である。――それから二階へあがって蓄音器をかけるか、飴をしゃぶりながら町を歩く、というのが変らない日課である。
「おっかしいのよ」と長は嘲笑した、「晩になるとな、おっかあに風呂へ入れてもらって、躯あすっかり洗ってもらって、寝るときにも抱いてねかしてもらうだってよ、それでよ、おっかあに抱かれて寝てもよ、ただ眠るだけでなんにも」
私はいそいで話題を変えた。この並みはずれてすばしこい少年は、私などのまだよく知らない、もの凄いようなことを平気で云う癖があった。