Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.961 Zeichen · 317 Bildschirme
私はそれには答えないで、こっちから問いかけた。
「ええびだよ」と繁あねは答えた、「ただええびに来ただよ」
私はまた訊いた。
「おんだらいつも一人だってこと知ってんべがね」
「妹はどうしたんだ」
「あまか」と少女は鼻に皺をよせた、「墓ん場に寝かしてあんよ」
「鼬にかじられるぞ」
「つまんねえ」
お繁は肩をすくめ、それからそこへしゃがんだ。すると垢じみた継ぎだらけの裾が割れて、白い内股が臀のほうまであらわに見え、私はうろたえて眼をそらした。私は信じがたいほど美しいものを見たのだ。
繁あねは町じゅうでもっとも汚ない少女だといわれていた。乞食あま。親なしで家なし。墓場に供えられる飯や団子を食う餓鬼、それがお繁であった。躯はできものだらけで、胸のところは腫物の膿のため、着物がはりついて取れなくなっている。いつもどこかの海苔漉き小屋か、納屋か、ひび置き場に寝る。風呂へはいることはないし、顔も洗わない。蝨だらけ蚤だらけである。もちろん親類もなく遊ぶ者もいない、というのがお繁であった。
それは決して誇張ではなかった。私もかなりまえからお繁を知っていたし、道で会えばたいてい呼びかけたものである。