Clásicos japoneses con furigana
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おうべいかっこく せいきょうにっき
井上円了・世界旅行記
井上 円了
Lee 井上円了・世界旅行記 (おうべいかっこく せいきょうにっき) de 井上 円了 (いのうええんりょう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 260.015 caracteres · 519 pantallas
室内の掃除は一週間一回であるが、南京虫のおらざりしは幸いであった。寝台は一室の四壁に、上下二段になりてできておる。しかして中央には、衣類をかける折れ釘がたくさん付いてあるから、八人の衣服はことごとくこれにかけてある。あたかも柳原の古着店のごとくに見ゆるは奇だ。靴みがきも洗濯も、みな船客自身でせなければならぬ。船の方では一切構わぬというきまりである。ゆえに船客はみな、靴墨から洗濯シャボンまで持参して乗りおるが、拙者は不慣れのためにその用意なく、少し閉口した。
さて、食事のときは一層大混雑である。およそ食事の時間五分前から、ソロソロ食堂へつめかけ、鐘報を待ち構えておる。一食卓に十八人ずつ互いに向かい合わせて対座するが、給仕のボーイは一人である。しかしボーイの熟練には感心する。スープやほかの料理の皿に盛りたるものを、片手に七個くらい載せて勝手場より運びて来るに、船の波にゆられて、われわれは柱にたよらなくては歩き得ぬ所を、皿一つ落とさず、汁一滴こぼさずに運ぶのは、立派な曲芸である。幾杯かえても、たくさんの皿を少しも間違えぬのも感心である。食事は毎回二品くらいのもので、一品をなんべんおかわりしても差し支えない。