Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lisez あらくれ de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 451 caractères · 236 écrans

Aozora Bunko

五十三

その日は、夕方から雪がぼそぼそ降出して来た。綿の入ったものの支度すらできなかったお島は、袷の肌にしみる寒さに顫えながら、汽車の出てしまった寂しい停車場を、浜屋の番傘をさして、独りですごすご出て来た。

「兄さんにすっかりかつがれてしまったんだ!」

お島は初めて気がついたように、自分の陥ちて来た立場を考えた。

達磨などの多い、飲食店のなかからは、煮物の煙などが、薄白く寒い風に靡いていた。

五十三

繭買いや行商人などの姿が、安旅籠の二階などに見られる、五六月の交になるまで、旅客の迹のすっかり絶えてしまうこの町にも、県の官吏の定宿になっている浜屋だけには、時々洋服姿で入って来る泊客があった。その中には、鉄道の方の役員や、保険会社の勧誘員というような人達もあったが、それも月が一月へ入ると、ぱったり足がたえてしまって、浜屋の人達は、炉端に額を鳩めて、飽々する時間を消しかねるような怠屈な日が多かった。

「さあ、こんな事をしちゃいられない」

朝の拭掃除がすんで了うと、その仲間に加わって、時のたつのを知らずに話に耽っていたお島は、新建の奥座敷で、昨夜も悪好きな花に夜を更していた主婦の、起きて出て来る姿をみると、急いで暖かい炉端を離れた。