Classiques japonais avec furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lisez あらくれ de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 451 caractères · 236 écrans
四十三
「あれを手前の子と思ってるのが、大間抜だ」母親はそうも言った。
衰えのみえる目などのめっきり水々して来たおゆうは、爾時五月の腹を抱えていた。日に日に気懈そうにみえて来るおゆうの媚いた姿や、良人に甘えるような素振が、母親には見ていられないほど腹立しくてならなかった。
四十三
お島の姉が、暑い日盛に帽子も冠せない子供を、手かけに負って、庭の方からまわって、おゆうを呼出しに来たとき、門のうちに張物をしていたお島と、自分の部屋の縁側で、髪を洗っていたおゆうを除いたほか、大抵の人は風通しの好さそうな場所を択んで、昼寝をしていた。房吉は時々出かけてゆく、近所の釣堀へ遊びに行っていたし、房吉の姉のお鈴は、小さい方の子供に、乳房を啣ませながら、茶の室の方で、手枕をしながら、乱次なく眠っていた。家のなかは、どこも彼処も長い日の暑熱に倦み疲れたような懈さに浸っていた。
大輪の向日葵の、萎れきって項だれた花畑尻の垣根ぎわに、ひらひらする黒い蝶の影などが見えて、四下は汚点のあるような日光が、強く漲っていた。
姉はおゆうと、五六分ばかり縁側で話をしていたが、やがて子供をそこへ卸して、袂で汗をふいていた。