Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lisez あらくれ de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 451 caractères · 236 écrans

Aozora Bunko

小野田はそこを出てお島の傍へ来ると、打算的の目を耀かして訊ねた。

「どの位だかね。今じゃ十円もするでしょうよ」

お島はけたような顔で応えたが、この地面が自分の有になろうとは思えなかった。

生家では二三年のあいだ家を離れて、其方こっち放浪して歩いていた兄が、情婦に死訣れて、最近にいた千葉の方から帰って来ていた。一時生家へ還っていた嫁も、その子供をつれて、久振で良人と一緒に暮していた。兄は一時悪い病に罹ってから、めっきり健康が衰え、お島と山で世帯を持っていた頃の元気もなくなっていた。お島はあの頃の山の生活と、二三度そこで交際った兄の情婦の身のうえなどを想い出させられた。悪い病気にかかったというその情婦は、どこへ行っても兄に附絡われていて、好いこともなくて旅で死んでしまった。その時は、何の気もなしに傍観していた二人の情交や心持が、お島にはいくらか解るように思えて来たが、どこが好くて、あの女がそんなに男のために苦労したかが訝かられた。

「あの時は、兄さんはほんとに私をひどい目に逢わしたね」

お島は長いあいだの経過を考えて、何の温かみも感ずることのできない恣まな兄との接触に、失望したように言出した。