Classiques japonais avec furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lisez あらくれ de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 451 caractères · 236 écrans
お島はその年の冬の頃、一度青柳と一緒に落会った養母のお伴をしたことがあったが、十七になるお島を連出すことはおとらにも漸く憚られて来た。場所も以前のお茶屋ではなかった。
その日も養父は、使い道の分明しないような金のことについて、昼頃からおとらとの間に紛紜を惹起していた。長いあいだ不問に附して来た、青柳への貸のことが、ふとその時彼の口から言出された。そして日頃肚に保っていた色々の場合のおとらの挙動が、ねちねちした調子で詰られるのであった。
結局おとらは、綺麗に財産を半分わけにして、別れようと言出した。そして良人の傍を離れると、奥の間へ入って、暫く用箪笥の抽斗の音などをさせていたが、それきり出ていった。
「まあ阿母さん、そんなに御立腹なさらないで、後生ですから家にいて下さい。阿母さんが出ていっておしまいなすったら、私なんざどうするんでしょう」
お島はその傍へいって、目に涙をためて哀願したが、おとらは振顧きもしなかった。
夜になってから、お島は養父に吩咐かって、近所をそっち此方尋ねてあるいた。青柳の家へもいって見たが、見つからなかった。
おとらの未だ帰って来ない、或日の午後、蚕に忙しいお島の目に、ふと庭向の新建の座敷で、おとらを生家へ出してやった留守に、何時か為たように、夥しい紙幣を干している養父の姿を見た。