Classiques japonais avec furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lisez あらくれ de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 451 caractères · 236 écrans
十三
お島は鼻で笑っていた。
王子の方にある生家へ逃げて帰るまでに、お島の周囲には、その噂が到るところに拡がっていた。
「それじゃお前は、どんな男が望みなのだえ」おとらは終にお島に訊ねた。
「そうですね」お島はいつもの調子で答えた。
「私はあんな愚図々々した人は大嫌いです。些とは何か大きい仕事でもしそうな人が好きですの。そして、もっと綺麗に暮していけるような人でなければ、一生紙をすいたり、金の利息の勘定してるのはつくづく厭だと思いますわ」
十三
盆か正月でなければ、滅多に泊ったことのない生みの親達の家へ来て二三日たつと、直に養母が迎いに来た。
お島が盆暮に生家を訪ねる時には、砂糖袋か鮭を提えて作が急度お伴をするのであったが、この二三年商売の方を助けなどするために、時には金の仕舞ってある押入や用箪笥の鍵を委されるようになってからは、不断は仲のわるい姉や、母親の感化から、これも動もすると自分に一種の軽侮を持っている妹に、半衿や下駄や、色々の物を買って行って、お辞儀されるのを矜りとした。姉や妹に限らず、養家へ出入する人にも、お島はぱっぱと金や品物をくれてやるのが、気持が好かった。