Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lisez あらくれ de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 451 caractères · 236 écrans
「誰が来たって駄目だ。お前ならきっと辛抱ができる」
お島に家へ坐られることが不安であったと同時に、田舎で遣かけようとしている仕事と、そこで人に囲われている女とから離れることの出来なかった兄の壮太郎は、そう言って話に乗易いお島を唆した。
田舎の植木屋仲間に売るような色々の植木と、西洋草花の種子などを、どっさり仕込んで、それを汽車に積んで、兄はしばらく住なれたその町の方へ出かけていった。一緒に乗込んだお島の心には、まだ見たことのない田舎の町のさまが色々に想像されたが、これまで何処へ行っても頭を抑えられていたような冷酷な生母、因業な養父母、植源の隠居、それらの人達から離れて暮せるということを考えるだけでも、手足が急に自由になったような安易を感じた。
「みっちり働いて、お金を儲けて帰ろう」お島はそう思うと、何もかも自分を歓迎するための手をひろげて待っているような気がした。
黝んだ土や、蒼々した水や広々した雑木林――関東平野を北へ北へと横って行く汽車が、山へさしかかるに連れて、お島の心には、旅の哀愁が少しずつ沁ひろがって来た。
「矢張こんなような町?」お島は汽車が可也大きなある停車場へ乗込んだとき、窓から顔を出して、壮太郎にささやいた。