Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志
吉川 英治
Lisez 三国志 (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 161 356 caractères · 323 écrans
「夏侯惇! 強情もいいかげんにしろ、丞相のご命令にそむく気か」
と、叱咤した人がある。
それも許都からいそぎ下ってきた早馬の一名、張遼であった。
夏侯惇は、初めて、駒を退き、満面に大汗を、ぽとぽとこぼしながら、
「やあ、君まで来たのか」
「丞相には一方ならぬご心配だ……貴公のごとき強情者もおるから」
「なにが心配?」
「東嶺関の孔秀が関羽を阻めて斬られた由を聞かれ、さて、わが失念の罪、もし行く行く同様な事件が起きたら、諸所の太守をあだに死なすであろうと――にわかに告文を発しられ、二度まで早打ちを立てられたが、なおご心配のあまり、それがしを派遣された次第である」
「どうしてさようにご愍情をかけられるのやら」
「君も、関羽のごとく、忠節を励みたまえ」
「やわか、彼ごときに、劣るものか」
と、負けず嫌いに、唾をはきちらして、なお憤々と云いやまなかった。
「関羽に殺された秦は、猿臂将軍蔡陽の甥で、特に蔡陽が、おれを見込んで、頼むといってあずけられた部下だ。その部下を討たれて、なんでおれが……」
「まあ待て。その蔡陽へは、それがしから充分にはなしておく。ともあれ、丞相の命を奉じたまえ」