Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志
吉川 英治
Lisez 三国志 (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 161 356 caractères · 323 écrans
三
無理もない――
曹操は、充分に察しながら、なおもやさしく、こういった。
「のう、そうではないか、徐庶ほどな人物が、何を好んで、玄徳などに仕えたものか。まさか、おっ母さんの同意ではあるまいが。――しかも玄徳は、やがて征伐される運命にある逆臣ですぞ」
「…………」
「もし、あなたまでが同意で奉公に出したなら、それは掌中の珠をわざわざ泥のうちへ落したようなものだ」
「…………」
「どうじゃな、おっ母さん。あんたから徐庶へ手紙を一通書かれたら? ……。わしは深くあなたの子の天質を惜しんでおる。もしあなたが我が子をこれへ招きよせて、よき大将にしたいというなら、この曹操から、天子へ奏聞いたして、かならず栄職を授け、またこの都の内に、宏壮な庭園や美しい邸宅に、多くの召使いをつけて住まわせるが……」
すると、――老母は初めて唇をひらいた。何かいおうとするらしい容子に、曹操はすぐ唇をとじて、いたわるようにその面を見まもった。
「丞相さま。この媼は、ごらんの通りな田舎者、世のことは、何もわきまえませぬが、ただ劉玄徳というお方のうわさは、木を伐る山樵でも、田に牛を追う爺でも、よう口にして申しておりまするが」