Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Lisez 上杉謙信 (うえすぎけんしん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 102 caractères · 256 écrans

Aozora Bunko

生ける験あり

生ける験あり

この正月を迎えて、謙信は、ことし三十三とはなった。

まだ弱冠といっていい。それなのに、服色も装身のすべても、ひどく地味好みであった。長袖の羽織も山繭織の鶯茶の無地ですましている。大口に似た袴だけが何やら特殊な織物らしい。またいつも好んで頭巾をかぶり、新春の装い綺羅やかな群臣のなかにあって、にこにこと無口に衆を見まわしている。――どう見ても臨済の若僧がひとりそこに交ざっているようであった。

「どうです、他愛ないものではありませんか。これですから、わが部下というものは、可愛くてなりません」

座を隣りあわせている右側の人へ、謙信はこう話しかけた。

関東管領の上杉憲政は、

「まったく」

と、うなずいて、更にまた、その右隣にいる貴人へ向って、

「越後衆の義勇に富むことや辛抱強さは、夙に、四隣に聞えていますが、かように無邪気で、多芸の士が多いとは、いや初めて知りましたな」

と、微笑を伝えた。

貴人というのは、この中に、ただひとりの都の公卿だった。熊野どの、熊野どのと仮称しているが、実は関白家の嫡、近衛前嗣なのである。――ことし永禄四年という天下大乱の中を、いかに正月とはいえ、こうした荒武者ばかりの席に平然と臨んでともに酒を酌み、ともに歓を尽しているこの公卿も、いわゆる花鳥風月だけしか解さない堂上の人とはすこし