Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵 (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 809 caractères · 369 écrans
そんな主旨の廻文を、清十郎に書かせ、これを携えて、中国、九州、四国などに散在している吉岡拳法門下の出身者を、歴訪して来たのである。もちろん振武閣建築の寄附金を勧進するために。
先代の拳法が育てた弟子は随分各地の藩に奉公していて、みな相当な地位の侍になっている。
けれど、そういう勧説を持って行っても、藤次が予算していたように、おいそれと寄進帳へ筆をつけてくれるのはすくない。
(いずれ書面をもって)
とか、
(いずれ、上洛の折に)
とかいうのが多く、現に藤次が携えて帰る金は、予定していた額の何分の一にも当らない。
だが、自分の財政ではなし、まあ、どうかなろうと多寡をくくって、先刻から、師の清十郎の顔より、久しく会わないお甲の顔のほうを、努めて、想像にのぼせていたが、それにも限度があるので、また、生欠伸に襲われて、退屈なからだを、船のうえに持てあましていた。
うらやましいのは、先刻から小猿の蚤をとっている美少年だった。いい退屈しのぎを持っている。藤次は、そばへ寄って、とうとう話しかけ出した。
「若衆。――大坂表までお渡りか」
小猿の頭を抑えながら、美少年は大きな眼をじろりと彼の顔へあげた。