Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Lisez 宮本武蔵 (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 809 caractères · 369 écrans

Aozora Bunko

十一

十一

その後は何事もなかった夜のように、この家の中は、人の寝息と、野鼠の歯の音がどこかでするだけであった。

時折、まだ寝つかないらしい乳呑み子が、奥でクスクスむずかっていたが、それもいつか、寝ぐさい闇が暖まるに従って、やんでしまう。

すると。

台所と仕事場との土間つづきの隅に、薪が積んであって、そのわきには土泥竈があり、荒壁には、蓑や笠などがかけてあったが――その壁に寄った泥竈の蔭から、ごそりと蓑がうごいた。

蓑はひとりでに持ち上がってゆくように、元の釘へもどって壁にかけられ、その壁の中から煙のように出て来たかとも思える人影が、ぬっと立った。

武蔵なのである。

彼は、この家から外へ、一足も出ていなかった。

先刻、寝床を抜け出すとすぐ、そこの雨戸を開けておいてから、蓑をかぶって、薪と一緒に身を伏せていたのである。

「…………」

彼は土間を歩み出した。宍戸梅軒の寝息は天国を遊んでいた。梅軒はまた、鼻に病があるとみえて、その鼾声も凡ならぬものだった。――武蔵はすこしおかしくなったとみえ、闇の中で思わず苦笑をゆがめる。

「…………」

さて――と武蔵はその鼾声を聞きながら一考してみるのだった。