Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵 (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 809 caractères · 369 écrans
三
かねて、武蔵から来ている書面には、試合の場所や日どりは、そちらに一任するから、その旨を、一月の初めまでに、五条大橋のほとりへ高札しておいてもらいたいとある。
「場所だな、まず」
清十郎はつぶやくようにいって――
「洛北の蓮台寺野はどうだろう」
と、一同へ計った。
「いいでしょう。して、日どりと時刻は」
「松の内か、松の内を過ぎてとするか……だが」
「はやいがよいと思います。武蔵めが、卑怯な策をめぐらさぬ間に」
「では、八日は」
「八日ですか。八日はよいでしょう。先師の御命日ですから」
「あ、父の命日になるか、それは止そう。……九日の朝――卯の下刻、そうきめる、そういたそう」
「では、その通りに、高札に認め、こよい除夜のうちに、五条大橋のたもとへ打ち立てますか」
「うむ……」
「お覚悟は、よろしゅうございましょうな」
「もとよりのこと」
そういわざるを得ない清十郎の立場となった。
だが、武蔵に負けようなどとは、思いもよらない。父拳法に手を取って教えこまれた幼少からの技倆は、ここにいる高弟の誰といつ試合っても、劣った例はない。ましてや、まだ駆け出しの田舎兵法者である武蔵如きに――と、彼は自負しているのであった。