Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Lisez 宮本武蔵 (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 809 caractères · 369 écrans

Aozora Bunko

二

白々と、元日の町の屋根や橋は、初霞の底から和やかな線をぼかしはじめたが、まだ空には星がよく見えるし、東山一帯のふところは、墨のような暁闇だった。

三条仮橋の下をくぐると、武蔵は河原から堤の上へ姿を現わし、大股に歩き出している。

婆は、

(武蔵待とう)

何度か、呼ぼうとしては、相手の隙とか、距離とか、さまざまな条件を老婆らしく緻密に考え、数町の間、引き摺られるように歩いてしまった。

武蔵は知っていた。

先ほどから疾くそれと知っていたので、彼はわざと振向かなかった。振向いて、眼と眼が、かち合ったら、その途端、お杉が選ぶ行動は分っているし、老婆とはいえ、切れ物と死に物狂いで来る以上、こちらが怪我をしない程度のあしらいは酬いなければならない。

(恐い相手だ)

と、武蔵は心から思うのだった。

村にいたころのたけぞうなら、すぐ撲り倒して撃退するか、血へどを吐かせて伸ばしてしまうであろう。だが今では、そういう気にはなれない。

恨みはこちらの方にこそあるので、婆が自分を七生までの仇かのように狙っているのは、まったく、感情と誤解のこぐらかりに因づくので、それを解けばわかるのだ。