Classiques japonais avec furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Lisez あらくれ de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 451 caractères · 236 écrans
連と、芝居へ入ったり浅草辺をぶらついたりして調子づいていたが、それもまたぱったり火の消えたように閑になって、肆まに浪費した金の行方も目にみえずに、物足りないような寂しい日が毎日々々続いた。
定りだけの仕事をすると、職人は夫婦の外を出歩いているあいだ、この頃ふとした事から思いついた翫具の工夫に頭脳を浸して、飯を食うのも忘れているような事が多かった。
仕事の断え間になると、彼は昼間でも一心になってそれに耽っていた。時とすると夜夫婦が寝しずまってからも、彼はこつこつ何かやっていた。
「この人は何をしているの」
隅の方へ入って、ボール紙を切刻んだり、穴を明けたり、絵具をさしたりして、夢中になっている彼の傍へ来て、お島は可笑そうに訊ねた。
「こう云う悪戯をしているんです」
彼は細く切ったその紙片を、賽の目なりに筋をひいて紙のうえに駢べていながら、振顧きもしないで応えた。
「何だねその切符のようなものは……」
「これですか」木村はやっぱりその方に気を褫られていた。
「これは軍艦ですよ」
「軍艦をどうするの」
「これでもって海軍将棋を拵えようというんです」
「海軍将棋だって? へえ。