Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志
吉川 英治
Lisez 三国志 (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 161 356 caractères · 323 écrans
四
玄徳は馬の平首を叩いて、
「的盧的盧。汝、今日われに祟りをなすか、またわれを救うや。――性あらば助けよ!」
と叫び、また心に天を念じながら、いきなり奔流へ馬を突っこんだ。激浪は人馬をつつみ、的盧は首をあげ首を振って濤と闘う。そしてからくも中流を突き進むや、約三丈ばかり跳んで、対岸の一石へ水けむりと共に跳び上がった。
四
玄徳も、またその乗馬も、共に身ぶるいして、満身の水を切った。
「ああ! 我生きたり」
無事、大地に立って檀渓の奔流を振返ったとき、玄徳は叫ばずにはいられなかった。そして、
「どうして越え得たろう?」と、後からの戦慄に襲われて、茫然、なおも身を疑っていた。
すると渓をへだてて、おうーいっと、誰やら呼ぶ声がする。誰かと見れば、蔡瑁であった。
蔡瑁は、玄徳が逃げたあとで、番兵から急を聞くと、すぐ悍馬を励まして追いかけてきたが、すでに玄徳の姿は対岸にあって、眼前の檀渓にただ身を寒うするばかりだった。
「劉使君。劉使君。何を怖れて、そのように逃げ走るか」
蔡瑁の呼ばわるに、玄徳も此方から高声で答えた。
「われと汝と、なんの怨恨かある。しかるに、汝はわれを害せんとする。