Classiques japonais avec furigana
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しのふちより
死の淵より
高見 順
Lisez 死の淵より (しのふちより) de 高見 順 (たかみじゅん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 084 caractères · 38 écrans
揺れるブランコ
おれのあとを
足音を忍ばせてこそこそつけてくるのはよせ
なまぐさいそいつは何物だろう
そいつはどんな面をしているか
そいつの正体を見とどけてやりたいが
振り向いたおれに
眼鼻のないずんべら棒の顔を
そいつは見るにちがいない
そしてそいつは一向に驚かないで
すぐですねと言うかもしれぬ
そいつにそんなことを言わせたくないから
おれは振り向かないで我慢しているのか
そいつはそいつ自身のことを
おれに聞いているのかもしれないのだ
まだなまぐさいそいつは
おれのことを何かカンちがいしている
そう思うことがおれの口をとじさせている
おれをすたすたと脇目もふらず足早やに歩かせている
揺れるブランコ
夕暮の空地で
ブランコが揺れている
今し方まで子供が乗っていたのだろうが
駈け去った子供の姿はもう見えない
それはほんとは子供ではなくて
すべてを心得ている
しかし人の眼には見えない何物かなのだ
そうだ ブランコだってその何物かと一緒に
ほんとはここから消えたいのだ
揺れているのはそのせいだ
夜がその姿を隠してくれる前に
自分からここを立ち去りたいのだ
ここ 人がきっと立ちどまって
暗い眼つきでブランコを見る