Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しのふちより
死の淵より
高見 順
Lisez 死の淵より (しのふちより) de 高見 順 (たかみじゅん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 084 caractères · 38 écrans
ケシの花
「わが埋葬」以後
のだ
怒りは無慙に崩され
水の高まりが次第に衰える
渦はあえなく消え去って
前にも増しておだやかな表面になる
見ている私に悲しみがどっと
波のように迫ってくるのはこの時だ
生と死とをそれは思わせる
ほんとうの悲しみとはどういうものかが
私に知らされるのも正にこの時だ
怒りのごとくにくだかれる生よ
そのもろさと短かさと激しさ
くらい夜の水よ
死もまたかくのごときか
(七里ヶ浜K病院で)
ケシの花
すでに私は地下に横たわっている
おでこのあたりに犬がうんこをする
いいんだ いいんだ
鳥が小さなくちばしで地虫をついばむ
土中の私もなんとなくくすぐったい
今にそれどころか私の胸に
木の根が容赦なく侵入してくるだろうが
私は私の死体の上の
楽しい景色を夢想したい
ゴッホの墓のように
花を植えてはくれないか
私がオーベールへ詣でたときは
三色スミレが咲いていた
墓のそばのゴッホが描いた麦畑には
おさない麦穂の間に赤いケシが咲いていた
私の頭上にこのケシを植えてくれ
白い花のケシの実からは
阿片がとれる
麻薬のヘロインがとれる
(七里ヶ浜K病院で)
「わが埋葬」以後
詩集『わが埋葬』(思潮社)を昭和三十八年一月に出してから「死の淵より」