Classiques japonais avec furigana
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しのふちより
死の淵より
高見 順
Lisez 死の淵より (しのふちより) de 高見 順 (たかみじゅん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 084 caractères · 38 écrans
死の扉
泣きわめけ
赤い実
突堤の流血
渇水期
不思議なサーカス
しかし汽車はもはや来ないのであるから
レールに身を投げて死ぬことはできない
死の扉
いつ見てもしまっていた枝折戸が草ぼうぼうのなかに開かれている 屍臭がする
泣きわめけ
泣け 泣きわめけ
大声でわめくがいい
うずくまって小さくなって泣いていないで
膿盆の血だらけのガーゼよ
そして私の心よ
赤い実
不眠の
樹木の充血
患者の苦しみの
はじまる暁
赤いザクロの実が割れる
(「赤い風景画」1)
突堤の流血
突堤の
しぶきの白くあがる尖端の
灰色のコンクリートにこびりついた
アミーバ状の血
寄せてはくだける波も
それがいくら努力しても
そこを洗うことはできない
そこに流された血は
そこでなまぐさく乾かされる
波にかこまれながら
ゆっくりと乾かされねばならぬ
(「赤い風景画」2)
渇水期
水のない河床へ降りて行こう
水で洗ってもよごれの落ちない
この悲しみを捨てに行こう
水が涸れて乾ききった石の間に
何か赤いものが見える
花ではない もっと激烈なものだが
すごく澄んで清らかな色だ
手あかのついた悲しみを
あすこに捨ててこよう
(「赤い風景画」3)
不思議なサーカス
病室へ来る見舞い客は
だれでも、口のところに口があり