Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

Lisez 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 989 caractères · 144 écrans

Aozora Bunko

先ず此の銀座通りだけでも、門並の商店に奉公して居る丁稚の数は、幾百人幾千人あるか分らない。己と同じくらいの年配で、自分の実家が貧しい為めに、中学へも行けず、親の傍にも置かれず、奉公に出された人間は定めし多勢あるだろう。内の店などは、主人夫婦も割合に親切だし、店員にも意地の悪い者は少いし、おまけに例のお嬢さんのお顔を、朝晩拝む事が出来るのだから、孰方かと云うと、まあ己なんかは小僧の中で運のいゝ方なんだ。考えて見ると、己が自分の境遇を呪ったりするのは、我が儘過ぎる話なのだ………けれども或る一人の人間の境遇が、幸福になり不幸になるのは、主として其の人の客観的の位地に依って決するのではなく、寧ろ彼自身の主観の状態に依って決するのだ。小僧の癖に生意気な事を云うようだが、世間には奉公人と云う、窮屈な不公平な、何等の価値も意義もない地位や生活に満足して、せっせと働いて居る丁稚や番頭が沢山ある。或は又、奉公人のする仕事を無意味であり無価値であると知りながら、到底自分は其れ以上の身分に登れる資格がないとあきらめて、現在の地位に満足して居る人間もある。彼等に取っては必ずしも其の境遇は不幸でなく、彼等は決して同情を要求する権利はないのだ。