Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

Lisez 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 989 caractères · 144 écrans

Aozora Bunko

(一)の八

之に反して「美」には永遠の生命がある。いや、ありそうに信ぜられる。「何故?」と聞かれるとちょいと困るが、兎に角己は、そう信じないでは生きて居られない。

(一)の八

人はめいめい固有のテンペラメントを持って居るから、そう一概にも云えないだろうが、兎に角、「善」とか「真」とか云うものには、人間の魂を酔わせるだけの力がない。人間の魂を酔わす事の出来るのは、唯「美」あるのみである。たとえば、あの妖艶な内のお嬢さんの容貌を眺める時、己はいつでも、普通の人間の目鼻や肉体を見て居るような気持ちはしない。恰も晴れ渡った深夜の大空に、きらめく星を打ち仰ぐと、人は誰でも「永遠」を想い無限を予感する如く、己はお嬢さんの崇厳な輪廓や、端正な額や、清浄な瞳の奥を視詰めると、己の全人格が何となく其処へ吸い込まれて行くような、恐怖と恍惚とに襲われる。お嬢さんと云う女は、一つの卑しい人間であっても、お嬢さんに備わって居る気高い顔だちには、「人間」以上の或る物が暗示されて居る事を感じる。勿論、お嬢さんの持って居る肉体の美は、此れから二三十年も過ぎて、彼の女が老い惚れて来ると同時に、何処ともなく消え失てしまうには違いない。