Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
Lisez 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 989 caractères · 144 écrans
(一)の二
ところが己は、そう云う種類の人間と全く頭が違って居る。己は自分の能力や材幹を、丁稚奉公に適当であると思った事は一遍もない。己は今でも、中学校の一年生や二年生には負けない積りだが、若しも順当に高等教育を受ける事が出来たら、どんなにえらい人物になれるか分らない男なんだ。それだけに、己がこんな小僧の境遇に堕ちて居るのは、外の人間よりも一層勿体ない、一層残念な気がするのだ。
己が斯う云うと、世間の奴等は恐らく冷笑するだろう。―――「其れはお前の己惚と云うものだ。誰だって小僧になるより学問をする方が、早く出世するにきまって居る。お前がほんとうに偉大な人間なら、奉公して居たってえらくなれる。学校に行かなければ学問が出来ないような、教育を受けなければ立身が出来ないような、そんな人間なら別段非凡な能力や材幹があるのじゃない。」と云うだろう。
(一)の二
成る程其れも一と理屈ある。非凡な人物はいかなる境遇に育っても、遂に穎脱すると云う事は、多くの場合に於いて真理である。だが少くとも其の真理は、己の場合にだけは当て嵌らない。若しも己の材幹が、政治とか、実業とか、学問とか、宗教とか、云うような方面に発達する素質を持って居たなら、そうして其の素質が真に非凡なものであったら、己は決して現在の境遇にへたばりはしないだろう。