Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 130 caractères · 288 écrans
銭形平次の論告は、何を憚るところもなく、誰の抗弁も許さずに、遠慮なく皆んなの耳に入って行くのです。
「で、どうしようというのだ、銭形の」
富蔵は少し我を折りました。
「一と通り皆んなに逢ってみよう。千両箱が出るか、下手人が出るか、それからだ」
平次は自分へ言い聴かせるように、こう言ったきり、黙って眼でガラッ八に指図をします。
「ここへ呼んで来ましょうか」
「うん、死体の前がよかろう。一人ずつ呼んで来るがいい」
「ヘエ――」
ガラッ八は飛んで行ったと思うと、第一番にまず大番頭の和七を、襟髪を掴まないばかりに引っ立てて来ました。
「親分さん方、御苦労様でございます」
物馴れた五十前後の男、弾力も圭角も失ってしまった、忍従そのもののような典型的な番頭です。
「番頭さんかい、――お前さんが店の支配をしているなら、主人が金をどこへ隠しておくか見当くらいは付いているだろう」
平次はいきなり突っ込んで行きました。
「ヘエー、それが、その、私の口からは申上げにくいことでございますが、一風変った御主人で、その日の勘定から、帳尻は私にさせますが、纏まった現金は、どこへやりますことやら、ツイぞ見たこともございません」