Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 130 caractères · 288 écrans
八
――誰もそれに不服はあるまい」
平次のそう言う声も嬉しそうでした。が、事件がまだ片付いたわけではありません。二人まで大の男を殺した下手人は解っていなかったのです。
八
その晩、通り魔のような影が一つ、お染の部屋へスルリと滑り込みました。
有明の行灯を吹消して、逆手に持った匕首が、お染の寝首へ――
「御用だッ」
曲者の匕首を持った手はむずと掴まれました。逆に捻って膝の下に敷くと、
「八、灯だ」
平次の声です。
「おい」
手燭を持って、六法を踏むように飛んで来たガラッ八。平次の膝の下の曲者の顔を見て、さすがに仰天しました。
「こいつが曲者ですかい、親分」
「見るがいい。――持前の愛嬌などはどこにもない、夜叉のような女じゃないか――あッ舌を噛み切りゃがった」
平次の膝の下で、殺人鬼のお今は、舌を噛み切ったのです。怨みと憤りに燃える顔は歪んで、キリキリと結んだ唇からは、糸を引いて血が流れます。
*
事件が済んでしまってから、ガラッ八の燃える好奇心に対して、平次はこう言います。
「重三郎は主人の甥で、音松は主人の弟だ。この二人とお染を殺せば、万という金が遠縁ながら姪の自分へ入って来るとお今は考えたのさ。