Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 130 caractères · 288 écrans
銭形平次捕物控
一
一
「親分、面白い話があるんだが――」
ガラッ八の八五郎は、妙に思わせぶりな調子で、親分の銭形平次に水を向けました。
「何が面白くて、膝っ小僧なんか撫で廻すんだ。早く申上げないと一帳羅が摺り切れそうで、心配でならねエ」
そういう平次も、この頃は暇でならなかったのです。
「親分が乗り出しゃ、一ペンに片付くんだが、あっしじゃね」
「たいそう投げてかかるじゃないか」
「せっかく頼まれたが、どうも相手がいけねエ」
「大家か借金取りか、それとも叔母さんか」
「そんな不景気なんじゃありませんよ。イキの良い若い娘なんで、へッ」
八五郎は耳のあたりから首筋へかけてツルリと撫で廻しました。よっぽど手古摺った様子です。
「なるほどそいつは大家より苦手だ。若い娘がどうしたんだ」
「朝起きてみると、娘が変っていたんで。姉様人形のように、人間の首が一と晩で摺り替えられるわけはねえ。そんな事が流行った日にゃ――」
「待ちなよ八、そう捲し立てられちゃ筋が解らなくなる。どこの娘が変っていたというのだ」
「こういうわけだ、親分」
八五郎はようやく落着いて筋を通しました。
小日向に屋敷を持っている、千五百石取の大旗本大坪石見、非役で内福で、この上もなく平和に暮しているのが、朝起きてみると、娘の浜路がまるっきり変っていたというのです。