Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 130 caractères · 288 écrans
三
その通りさ、この穴の中に千両箱が一束もあった日にゃ、物事が素直に運びすぎるよ」
平次はそんな無駄を言いながらも、忙しくその辺を捜し廻っておりました。
三
「市ヶ谷の兄哥、この仕掛けは古いものじゃないぜ」
平次は落散る材木や、それを釣った縄切等を丁寧に調べました。
「どうせ新しいものに決っているだろうよ。東照権現様江戸御入府前からあるわけはねエ」
富蔵は一向気の乗らない様子です。
「それにしても新しすぎるよ。――死んだ主人の音次郎は三月前から寝ていたっていうが、この仕掛けを拵えたのは、どんなに間違っても、十日より前じゃねエ」
「?」
「この仕掛けをしてから雨が一度も降らなかった。その証拠は縄が真新しくって、石も木も上から流れて来る泥を受けた様子はねエ」
平次の言葉の意味の恐ろしさが解ると、皆んな黙り込んでしまいました。三月前から寝ていた主人の作ったものでないとすると、この仕掛けの意味は深刻なものになります。
「それに、重三郎が穴へ入るつもりで、中腰になって、狭い入口を半分ほど入ったとき、綱か何か引いて、仕掛けの石と材木を落したんだ。こんな器用なことは、狐や亡者に出来ることじゃねエ」