Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 130 caractères · 288 écrans
お前や六兵衛は気が付かないかも知れないが、あの耳の形と目をつぶって聴く声の調子が、お狩場の四郎そっくりだ。顔が似ていないから誰も気が付かなかったが、耳や歯並や、指の恰好、声の調子などは、よく親に似るものだ」
「…………」
「その上、下女に似合わぬ大金を持っているし、むずかしい書物を持っている。母親の形見だと言って誤魔化したが、あの娘は決してただの娘じゃない。――俺はお狩場の四郎の娘と睨んだが、こいつは万に一つも間違いはないだろう。親の四郎は、病気で動けないか、死ぬかしたんだろう。そこで、親の怨みを晴らす気で、桜屋へ入り込んだに違いあるまい。桜屋が片付けば、その次はこの平次が狙われる」
平次の推理は寸分の隙もありません。
「恐れ入った。正にその通り、少しの間違いもない。あの娘はお狩場の四郎の一人娘、小さい時から房州へ里子にやられて、女一と通りの道を仕込まれた。宇太八というのは、その里親で、四郎の昔の子分だ」
ガラッ八は五日四晩の調べを語りました。
「そんな事だろう。――それから」
「お狩場の四郎が上方へ逃げたと言い触らして、実は房州の山の中へ逃げ込み、それから間もなく病気になって、去年の秋死んでしまった。