Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 137 868 caractères · 278 écrans

Aozora Bunko

丸半日、気のきかない空巣狙いのような事をしていた平次も、その日の昼頃には、とうとうシビレを切らしてしまいました。

「チェッ」

舌打を一つ、袂から取出したのは、その頃通用した永楽銭が一枚です。掌へ載せて中指の爪と親指の腹で弾くと、チン――と鳴って、二三尺空中に飛上がります。落ちて来るところを掌で受けると、これがそのまま銭占。

「帰れっていうのか、よし」

銭を袂に落すと、そのまま塀を離れて、音羽の通りへ真っ直ぐに踏出しました。これが銭形平次という綽名の出たわけの一つ。もう一つ、平次には不思議な手練があって、むつかしい捕物に出くわすと、二三間飛退って、腹巻から鍋銭を取出し、それを曲者の面体目がけてパッと抛り付けます。薄くて、小さくて、しかもちょっと重い鍋銭ですから、不用意に投げられると、泥棒や乱暴者などは、キット面体をやられます。ひるむところを付け入って捕る、このこつはまことに手に入ったもので、銭形の平次というと、年は若いが悪党仲間から鬼神のごとく恐れられたものです。

その平次が見限ったのですから、御薬園の塀の中の秘密は容易のことではありません。腹立ち紛れの弥蔵を拵えて、長い音羽の通りを、九丁目まで来ると、ハッと平次の足を止めたものがあります。