Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 137 868 caractères · 278 écrans
その後あの曲を奏するごとに、人智の及ばぬ異変があり、お前の父親一色清五郎殿が、厳重な封をしてこの私に預けたのだ。流儀の奥伝秘事、悉くお前に伝えた上は、あの『禁制の秘曲』も還してもよいようなものだが、なんといっても、まだ三十前の若さでは、万一の過ちがあっては取返しがつかぬ。決してあの曲を惜しむわけではない、せめてあと三年待つがよかろうと思うがどうだ」
春日藤左衛門は道理を尽して、こう言うのです。
「よく判りました、お師匠。でも、私のような若い者には、笛を吹いて祟りがあるということは受け取れません。それはほんの廻り合せか、吹く人の心構えの狂いから起った間違いでございましょう。それに私は自分の未熟もよく存じております、『禁制の秘曲』をこの私に渡してくれというような、そんな大それた事は申しません。たった一度で宜しゅうございます。後学のために、お師匠の許を去るこの私に、一色家に伝わる秘曲を、吹いて聴かして下さればそれで堪能するのでございます」
「…………」
藤左衛門は口を緘んで友衛の後の言葉を待ちました。
「禁制の曲に魔がさすというのは、夜分人に隠れて、そっと吹くからでございましょう。