Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

Lisez 黒田如水 (くろだじょすい) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 163 639 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

四

「しばらくお待ちください」

と、声もすずしく辺りを制し、帯をしめ直し、髪の根高々と揚げ、いと神妙に、

「よろしゅうございまする」

と、合図して、男も及ばぬ尋常な最期をとげたというのであった。

「あれはもと伊丹のお城にいた室殿という女子だそうな」

と誰からともなく沙汰されたが、彼女の死後、幾刻も経過せぬうちに、尼二人ほど連れて、その首級と小袖とを、貰いうけて行った婦人があった。

「室殿の妹であろうか」

「どこかの武家の奥方らしいが?」

人々はまた、それについて、しきりに詮索し合ったが、その女性の身元のほうは、ついに誰も知る者がなかった。

分ったのは、よほど後のことであるが、織田信澄麾下の新参で、伊丹亘という者の妻なりと知れた。そしてその妻女の名は、菊とも聞えた。

四

「殿。何かご思案ですか」

「官兵衛か。――下手な考えは休むに似るという。茫然、不落の敵城を見ていたまでのことよ」

「近ごろ、折々、黙然と不興におわすご容子は、いかにもご精気なく仰がれますな」

「それほど元気がないように見ゆるか。……どうもいかぬ」

秀吉は、呟くと、急に面を振って、快活を呼びもどそうとするように笑った。